こんにちは!塾長の坂根です。
今回は私の塾で行っている『プレゼン力強化授業』についてご紹介します。この授業は主に読解力をつけたり、文章力をつけて論文やレポートが書けるようになるために行っていますが、社会人や学生の方にも必要な力を培うこともできます。学生さんだけでなく、社会人の方もぜひ読んでみて下さい。
プレゼン力が求められる時代
なぜ『プレゼン力強化授業』を行っているかというと、今の時代・これからの時代は自分から発信する力を持つ人材が求められているからです。『発信力』と言われると「いかにSNSを使いこなすか」のように捉えられますが、ここでは「人前でいかに相手に自分の言葉を的確に伝えるか」という力を指します。まさに『プレゼン力』です。
実際社会人として働いていたら、相手に的確に物事を伝えないといけない場面ばかりです。自分の口で伝えるにしても文章で伝えるにしても、この『プレゼン力』を身に付けている人材が今の社会では必要とされています。AppleやTOYOTAのような大企業のCEO(社長)が商品・サービスのプレゼンをしている姿がまさにその例ですね。そのことを国もわかっているので、今の学校現場では自分で発表する場面が増えているのです。
しかし、実際にどうやったらその『プレゼン力』が鍛えられるのかわからないから、発表の場だけ増えてあまり力がつかないのが現状です。しかも、発表するのはいつも「目立ちたがり屋の子」だったり、「勉強ができる優秀な子」になってしまい、人前で話すのが苦手なまま大人になる人がほとんどだと思います。
そこで、私の塾では教科書や市販のテキストなどの文章を使ってこの「プレゼン力」を鍛える授業を行っています。文章であれば、発表の場がなくてもプレゼンの練習はできますし、以前の記事でも書いた「読解力」や「文章力」も鍛えられます。では具体的にどうやっているのかご紹介します。
要約の仕方
まずは学校の教科書でも何でもいいので、何かしら文章を用意してください。初めてする場合は学校の教科書ぐらいの文章量がいいです。本一冊レベルだと要約が大変ですから。小学校4年生以下の場合は絵本でもいいです。
次に、国語の教科書の単元(目次)の中から「説明文」で書かれている文章を選びます。ここで注意なのは、「小説」は選ばないことです。なぜかというと、教科書に載っている小説や物語は実際の本の一部しか載っていないので、登場人物や場面の説明がなく要約することが難しいのです。「説明文」であれば、教科書の本文だけで完結するので要約がしやすいです。
文章の用意ができたら、さらに3色違う色のペンも用意して、次のステップを踏んで要約の準備をします。
- 3回以上出てくる「キーワード」に赤ペンで〇をつける
- 「キーワード」を含む「この一文は大事な文だ」と思う一文(大体3か所ぐらい)にオレンジ色のペンで線を引く
- 自分がその文章を読んで「この一文面白い・気になる・不思議に思う」一文を一つだけ青ペンで線を引く
実際に線をひくとこんな感じです↓(全体的にぼやけててすみません)
要約は本文の量にもよりますが、教科書レベルなら大体150字~200字で要約するといいでしょう。
要約に必要なのは上のステップの1と2です。とくにステップ2で線を引いた一文をそのまま使っていきます。3か所ぐらい線を引いているはずなので、その文章を自分なりにくっつけます。くっつけるときに使うのが「接続詞」ですね。「したがって・なぜなら・しかし・また」のような接続詞を使って自然な文章にしてみましょう。そして、自分なりに要約した文章に「キーワード」が入っているか確認します。
ここまでが文章の要約の手順になります。前回の記事でご紹介した「国語の解き方」と同じですね。要約は難しいと思ってる方が多いと思いますが、そんなに複雑なことはしていないと思います。
要約で大切なのは、「この文章を読んだことがない人でも、何について書かれているかわかるようにする」ことです。だからこそ、「キーワード」や「大事だと思う一文」が必要なのです。
ここで「要約」と「プレゼン」のどこに関連性があるかわかりますか?「プレゼン」の大切なポイントの一つは「自分の紹介したい内容や商品を的確に相手に伝えること」です。ダラダラ説明されても途中で話を聞くのに飽きてきますよね。短く・的確に説明された方がわかりやすいし、印象にも残ります。
要約ができたら、まずはその文章を添削します。ここでの添削は教科書などの本文を読まずに、主語・述語が合っているか、誤字脱字はないかなど、文章が変ではないかだけチェックします。
プレゼンの仕方
要約ができたら最後にするのが「プレゼン」です。ここで使うのが、上のステップの3番目「自分が興味を持った一文」を入れて、要約した本文に対する自分の考えをさらに100字程度で書きます。
この「自分が興味を持った一文」が、プレゼンで大切なポイント2つ目「相手に興味を持ってもらう」ことにつながります。まずは自分が興味を持たないと説得力ないですよね?だからこそ、興味がある理由や考えをしっかり考えるんです。100字程度に限定したのは、興味があるからといってダラダラ説明しないように、簡潔に自分の考えを伝えるためです。
この『プレゼン力強化授業』はここで終了ではありません。実は本題はここからなんです。ここまで文章を書いていると、300字ぐらいの文章になっていますよね。これはあくまで「台本」です。この「台本」をまずは自分でしっかり読み込み、台本は見ずにもとになった教科書の本文だけを見ながら先生に「本文のプレゼン」を口で言ってもらいます。
ここでは生徒に「本文の説明をしてね」ではなく、「先生にその文章をプレゼンしてね」と伝えます。「説明」「紹介」と「プレゼン」は全く違うことです。プレゼンするということは、相手がこの文章を読みたくなるように伝えないといけません。だから台本をただそのまま読むのではなく、どこを強調して伝えるかも大事になります。政治家の人がカンペのようなものをそのまま読むと棒読み感が半端なくて、全然国民に伝わらないのはこのせいだと私は思います。
この口頭でのプレゼンをしてこの授業は終わりとなります。塾の授業は90分なんですが、この90分の『プレゼン強化授業』が一番疲れると生徒から言われます(笑)。でも、疲れるぐらい本文を読んで文章を考えて、さらに相手を動かす言葉も考えることは色々な力をつけている証拠です。読書感想文をさせるときもこの方法が使えると思います。
まとめ
今回は主に国語の文章を使ったプレゼン準備の方法ですが、国語以外にも社会の歴史をテーマにしたこともあります。どんな話題でもいいんですが、あえて「本人(自分)が興味をもっていないテーマや話」にするのが良いと思います。自分の好きなことは永遠に話せますが、自分が興味のないことを相手には興味を持たせるのはかなり難易度高いですからね。
本当は学校現場でこれぐらいした方がいいんですが、授業の時間が限られているので難しいんです。だからこそ、自宅で自分のお子さんに読解力や相手に伝える力をつけさせたい保護者の方や、これから受験で面接や小論文を控えている受験生、実際にプレゼンを控えている社会人の方はぜひ参考にしてみてください。