こんにちは!塾長の坂根です。
今回は、私の専門教科である「日本史」の勉強方法についてお伝えします。大学受験で日本史を選択する必要がある方は参考にしてみてください。ここでは定期テストではなく、共通テスト・難関私立大学・国公立大学それぞれの勉強方法について書きますので、自分がどの大学を受験するかも考えながら読んでみてください。
日本史の受験勉強 初級編
まず日本史は用語や人物を覚えないことには始まりませんので、その覚え方のアドバイスから入ります。日本史の勉強でありがちな次の勉強方法はオススメしません。
・年号を覚える
・用語集の1問1答を覚える
この2つは、ある程度日本史全体が覚えられるようになってから始めた方がいいです。なぜかというと、「この2つの勉強方法では非常に効率が悪い」からです。日本史も世界史も他の科目に比べて圧倒的に暗記量が多いです。だからこそ、効率良く覚えていかないと時間がありません。なので、本気で日本史の勉強に取り掛かろうとするなら、まずは時代ごとの権力者(時代を動かした人物)の順番を確実に覚えましょう。
具体的にどういうことかというと、例えば鎌倉時代なら北条氏が執権政治をしていた時代ですから、
北条義時→泰時→時頼→時宗→貞時
のように、その時代の中心人物の順番を確実に覚えます。飛鳥時代から奈良時代前なら天皇の順番を覚えていきます。影の薄い将軍や天皇もいますが、可能性な限り人物を省かずに覚えた方がいいです。
人物が覚えられたら、その人物が実権を握っていた間の出来事を古いものから新しいものに整理していきます。これらを整理するときは年号を書く必要はありません。教科書や資料集に太字で書かれている語彙のみを羅列していきます。実際に書くとこんな感じです。
これは平安時代の中心人物とその人物が生きていたときの出来事です。きれいにノートを書く必要はなく、絶対に覚えないといけない出来事は赤字で、その次に大事なこと(登場人物など)は赤線でアンダーラインでといったぐらいで書きます。とにかくここで大事なのは、ノート1ページ分が確実に暗記できるように簡素化してノートを書くことです。人間の脳は3色以上で書かれたものを完璧に覚えることは時間がかかるため、赤で強調されたところだけならそんなに暗記に時間はかかりません。
また、今回はノートに書いていますが、カレンダーやポスターの裏などの大きな紙に大きな字で書いて、それを壁に貼って常に自分の目に入るようにするとさらに効率良く覚えられます。私が受験生のときはカレンダーの裏に書いて、それを覚えながら筋トレしていました。このことに関しては別の記事でも書いているので、運動がてら勉強したい人はそちらの記事も読んでみてください。
この人物と出来事をまとめるときに使うのが『日本史資料集』です。教科書だと文章になっていて時系列順にしづらいので、資料集なら人物と出来事が時系列に記載されているので、それを参考にまとめていきます。実際の資料集だとこんな感じです。
この資料集を自分なりにまとめていくと、出来事がつながっていることがわかるため、今まで点でしか覚えていなかった出来事が一つの線になっていきます。この出来事や人物が線でつながったときに日本史の理解度が深まりますし、記述問題にも対応できます。
日本史の中で暗記が一番大変なのは近代です。近代は歴代総理大臣を覚えてからになりますが、総理大臣がコロコロ変わるので人物を覚えること自体が大変です。ただ、歴代総理大臣の覚え歌もあるのでそれを使うと覚えやすいです。また人物が多い上に出来事もたくさんあるため、この近代に一番時間を費やすことを考えると、古代から中世まではとにかく早めに暗記に取り掛かりましょう。
ちなみに、この勉強方法で古代から現代まで終わったら、共通テスト(マーク模試)であれば余裕で6割以上点数が取れます。人物と出来事が一致していれば古い順に並び替える問題など、マーク式独特の問題は攻略できるからです。共通テストで大体6割以上を取ろうと思っている人(理系や暗記が苦手な人)はこの勉強方法を高3の春ぐらいから11月にかけてするといいでしょう。特に理系の学部に行きたい人は日本史に下手に時間をかけるより、数学や理科に時間を割かないといけませんからね。共通テストのみ日本史を使うという方は、「この時代は完璧に覚えた!」と感じたらマーク式の問題集で確認してみましょう。
日本史の受験勉強 中級編
ここからは日本史で共通テスト8割以上、難関私立大学・国公立大学の受験で日本史が必要な方向けの勉強方法に入ります。このレベルをするには、まず上記の初級レベルの勉強方法が済んでいる、又はすでにマーク式模試で6割以上取れていることが大前提です。
このレベルに到達している人は日本史の流れ(主に政治)が大体掴めているはずなので、ここからより理解しないといけないのは「社会制度」です。日本史の社会制度とは主に「土地政策・税といった経済政策」のことです。「~の変」や「~の乱」は比較的内容も覚えやすいですが、社会制度の内容は正直言って面白い内容でもないし、難しい用語が出たり似たような概念の用語が出て理解するのが大変です。しかし、記述問題や共通テストで受験者に間違えさせようとする問題はだいたいこの辺りの単元です。その時代を表す政治と社会制度はセットのようなものなので、「こんな政治をしていたら、こういう経済政策するよな」という感じで理解しましょう。
例えば、飛鳥時代~奈良時代に行われた土地政策がどのような変遷をしていったかわかりますか?中大兄皇子(後の天智天皇)が行った「公地公民」は、奈良時代終わりには「初期荘園」という変遷をたどります。もっと厳密に言うと、
公地公民→三世一身法→墾田永年私財法→開墾禁止令→初期荘園
という土地政策の推移です。この一連の政策の推移が説明できる人は日本史がよくわかっている人ですね。ざっくり説明すると、「多くの国民に土地を貸して税金をたくさん取りたかったけど、その負担がでかすぎてみんな逃げちゃったから、自分で土地広げてもいいことにするよ」って感じです。ざっくりすぎてよくわからない方もいると思うので、自分でしっかり調べてください。
このように、社会制度の内容や変遷を説明できれば記述問題も書けるでしょう。自分が理解できたかどうかはレベル別の記述問題集を解いてみてください。理解できても、問題として解けるかはまた別問題なので、オススメの記述問題集を載せておくのでぜひ実践してみてください。
日本史の受験勉強 上級編
さあ、ここから上級編です。難関私立大学の中でもMARCH・上智・早慶・同志社大学や、東大・京大・東京外国語大学・大阪大学といった超難関国立大学に日本史で挑戦しようと思っている方向けになります。この上級レベルの問題は学校の授業だけでは最早対応はできません。
まず超難関私立大学の日本史・世界史は「受験者を落とすための問題」であるため(受験者数がめちゃくちゃ多いから)、学校で習っていない範囲から問題を出してきます。教科書や資料集の太字ではないところから普通に問題を出してきますので、教科書と資料集は隅から隅まで読んで覚えないといけません。問題によっては教科書にすら載っていない用語や人物も出てくるので、そういった問題はもう捨てるしかないでしょう。
一方超難関国立大学の場合は、あくまでも「学校で習った範囲」で問題を出してきます。何が難しいかというと、とにかく記述問題の記述量が多いです。私立大学の場合は記述問題でもそんなに長い記述は出しませんが、国立大学は60字~100字ぐらいの記述問題はざらです。こんなに長い記述問題は模試でも解いたことがない人が多いので、赤本といった各大学の過去問を解いて慣れるしかありません。また、世界史や地理・公民の知識がないと解けない問題もあるため、ただ日本史ができるだけでなく、他の社会科目もしっかり勉強して日本史と関連付けて解答できるようにしましょう。記述の練習のためにレベル別の記述問題集の難易度MAXの問題を何度も解いた方がいいですね。
まとめ
日本史だけでこんなに勉強しないといけないことがわかってもらえたでしょうか。正直に言うと、難関大学以上を日本史・世界史で受験するよりも、公民(現社、政治・経済、倫理)で受験した方が点が取りやすいです。しかし、大学によっては地歴指定で出題したり、そもそも公民を習っていない人もいると思うので、そういった場合は本当に早めに勉強に取り掛かった方がいいですよ。また、日本史で受験する人は歴史好きの人が多いと思いますが、歴史にあまり興味がない人はまず日本史マンガを読んで少しでも興味を持つことをお勧めします。